EXW(Ex Works)とは?

インコタームズに於けるEXW (Ex Works) とは?

EXW (Ex Works) はインコタームズの内のあらゆる輸送形態に適した規則の7つのルールの1つです。

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EXW (Ex Works) はあまり難しく考えず、カタカナ英語的にエクスワークスと発音すれば良いと思います。

英語の前置詞のExは◯◯からの売り渡しと言う意味合いを持ち、Worksは工場と言う意味合いを持ちますので、日本語に直すと工場渡しと訳されます。

工場渡しと言う言葉のそのままの通り、自社の工場や倉庫まで取りに来てもらい商品を引き渡すと言う貿易条件となります。

海上輸送のみならず、航空輸送などを含めたあらゆる輸送形態に対して使える貿易条件となります。


輸出者=売主からすると、決済などを除いた物流的には国内取引と変わりません。

国内取引でも通常は自社の敷地からお客様の指定場所まで配送する迄が普通ですから、輸出者からするとEXWは寧ろ普通の国内取引より楽かもしれません。

しかしながら輸出許認可や、必要であれば輸出貿易管理令の該非判定なども輸出者が行わなければならないので注意して下さい。
付随する輸出通関に必要な価格を証明するインボイス(Invoice:I/V,INV)や、貨物形態を説明するパッキングリスト(Packing List:P/L)の作成は、厳密にはどちらがしなければならないかは微妙なところです。

インコタームズで規定されている部分も有りますが、いずれにせよ特に初回の取り引きでは当事者同士で、インコタームズをベースとして細かい擦り合せをすべきと考えます。

EXWと言う建値と通貨で取引価格が決まる

貿易取引ではインコタームズのどのルールを適用するかと言う建値と、どの通貨(Currency)で支払うかで取引価格が決定されます。

先ず建値次第で掛かる費用リスク負担が変わります。
また決済は異国間のお金の受け渡しですから、どの通貨でいつ決済するか次第で為替差損益が発生してしまいます。

更に細かい話ではその価格の支払い方、例えば海外電子送金T/TなのかL/Cとかの信用状取引でも支払いの費用が異なって来るので、それら全ての費用リスクを考慮して、貿易取引では取引価格が決定されるのです。

例えばあなたが輸出者=売主だとして、海外のお客様へ見積書代わりとなるプロフォーマインボイス(Proforma Invoice)請求書となるインボイスなどにUSD10,000 EXWと書いた場合を想像して下さい。

この場合、あなたはお客様に海を超えて私の工場まで貨物を取りに来て下さい、そして貨物引取後の費用やリスクは全てあなた持ちで良ければUSドルで10,000お支払いいただければお売りしますと伝えていると言う事になるのです。

輸入者=買主から見たEXW

一方でこのEXWと言う建値は、輸入者=買主から見るとどうでしょうか?

先ず自国から飛び出し、海外まで行って貨物を受け取ると言うのがそもそも大変ですよね!
コントロールが難しい海外で費用とリスクが早々に転嫁されてしまい、売主の国での輸出から、自分の国の輸入まで行わなければならない、ほぼフルコースを自らが行わなければなりません。
だからEXWは慣れていないとかなり大変な、いずれにせよ輸入者から見ると最も厳しい貿易条件になるのです。

勿論、輸出者にアドバイスは貰えるでしょうが、輸入者が海外の工場から港まで運び、通関を切って、船積の手配などの全てをアレンジしなければなりません。
またそれらの費用のみならず手間も大変ですし、リスクを考慮して自ら保険を掛けなければ万一の際に本当に大変な事になってしまいます。

輸出国側での貿易のアレンジ

輸入者は大抵の場合、輸出者側の輸出国に居る訳では無いと想像されます。
だから輸出国側での貿易のアレンジのハードルは、普通に考えると結構高いと思われます。

輸出者がアドバイスのみならず、現地のフォワーダーと連絡してアレンジをしてくれる場合も有るでしょう。
しかしながら大抵の場合、輸入者は自国に居るフォワーダーを通して、現地のフォワーダーにアレンジして貰い、その費用を支払うと言う流れが普通と考えられます。

EXWのメリットとまとめ

EXWのメリットは、輸出者から一番安価に、しかも簡単に取引価格が決定される事では無いでしょうか。

だから貿易が不慣れな輸出者でも比較的簡単に輸出ビジネスに取り組む事が出来る様になります。

しかしながら輸入者にとっては、貿易に関わる費用リスク、そしてそれらに関わる手間を全て負わなければならないので大変です。
製品代金にプラスして複雑な貿易費用も計上しなければならないので、輸入ビジネスに慣れていなければ避けたいところかもしれません。

インコタームズの貿易条件は全体の費用リスク輸出者輸入者の間でゼロサムの関係になっていますので、どちらかが減れば、その分もう一方が必ずその分増えると言う事になるのです。

国際取引では相手との関係性、相手国との関係性、商品の特性などを考えて最適の貿易条件で取り引きを心掛けていきましょう。