HSコードと税表番号と関税率の関係

HSコードとは?

HSコードとはHarmonized System Codeの略で、直訳すると統一システムの番号となります。

WCO(後述します)は1988年1月に、規制品の判別、輸出入許可や関税を決定するなどの為にHarmonized Commodity Description Coding System(商品の名称及び分類についての統一システム)に関する国際条約(略してHS条約)を発効し、それに基づいて付けられた番号がHSコードなのです。

HS条約は外務省のこちらのページで参照できます。

2019年3月現在でHS条約締約国等は156カ国+1地域(EU)、そしてHS適用国(含HS条約締約国)等 211カ国・地域であり、国際貿易の98%以上で使用されていると言われ、輸出でも輸入でも基本的には同じ番号が使われています。

5年程の周期で見直しが行われていて、最新版はHS2017となります。

HS Nomenclature 2017 editionはWCOのこちらのページで参照できます。

HTSコードとは?

米国ではHSコードを独自に改良した10桁のHTSコードを運用しています。

HTSはHarmonized Tariff Scheduleの略で、USITC(UNITED STATES INTERNATIONAL TRADE COMMISSION:アメリカ国際貿易委員会)が制定しています。

最新版は2015 HTSA REVISION 2 EDITIONとなります。

WCOとは?

WCOはWorld Customs Organizationの略称で、日本語に直すと世界税関機構となります。

その名が表す通り、各国の税関制度の調和・統一及び国際協力の推進により、国際貿易の発展に貢献することを目的としています。
1952 年に設立され、本部はベルギーのブリュッセルとなります。

財務省の紹介に因るWCOの主要任務は下記の通りです。

  1. 関税分類や税関手続に関する諸条約の作成・見直しを行い、これらの統一的解釈を示すこと
  2. 国際貿易の安全確保及び円滑化等に関するガイドライン等を作成・推進すること
  3. WTO(世界貿易機関)が主管する関税評価及び原産地規則に係る協定の統一的解釈及び適用のため、技術的検討を行うこと
  4. 不正薬物及び知的財産侵害物品等の監視・取締りの国際協力、関税技術協力の推進を行うこと

WCOはこれらの一環でHSコードの見直しを定期的に行っているのです。

税表番号とは?

6桁までの号となるHSコードは世界共通ですが、7桁以下は国毎に異なります。
日本では6桁のHSコードに3桁の統計細分をプラスした9桁の数字が税表番号(税番)、統計品目番号や統計番号として使われています。

  • 類 = 上2桁
  • 項 = 類 + 2桁
  • 号 = 項 + 2桁
  • 統計細分 = 下3桁 ・・・ 国毎に運用が異なる

第1部から第21部に渡り、その中で97類に分類されています。

アボカドを例にすると、

08食用の果実及びナット、かんきつ類の果皮並びにメロンの皮
0804なつめやしの実、いちじく、パイナップル、アボカドー、グアバ、マンゴー及びマンゴスチン(生鮮のもの及び乾燥したものに限る。)
0804.40アボカド

となっていき、更に生鮮のものなのか乾燥したものなのかで統計細分が異なり、最終的な税番は下記の様に分かれます。

アボカド(生鮮のもの) =0804.40.010
アボカド(乾燥したもの)=0804.40.090

関税率表は税関のコチラのページで参照できます。

日本での税番の決定のされ方

  • 輸出入される貨物は関税率表の税番に分類され、関税率が決まる
  • 輸出入される貨物を関税率表上に当てはめる作業である関税分類(HS分類)は関税率表の解釈に関する通則に従って運用される
  • 日本への輸入の場合は日本(輸入国)の税関が税番を決定する

事前教示制度の活用

自分で調べて税番がこれだと思っても、輸入通関の際に行われる税関の決定と食い違い、予想外の関税と言うコストが発生してしまうと言う危険性は有り得ます。

その様な事態を回避する為、税関は事前教示制度を行っています。

  • 必要事項(製法、性状など)を記載した事前教示に関する照会書の作成
  • 見本などの参考となる資料(見本に代わる写真、図面等)の提出

上記の2点を以って、輸入を予定している税関に相談して下さい。

相談の結果は事前教示回答書(変更通知書兼用)にて回答され、以降3年間の輸入申告の審査の際にその内容が尊重されると事になります。

しかしながら法律改正等により取扱いが変わった場合は除かれますし、尊重すると言う表現からも、事前教示はあまり過信しない方が良さそうな感じかもしれません。

主な関税率の種類

関税率は輸出入される貨物の種類によって分類される税番のみならず、原産地によっても異なります。

輸入国の法律に基づいて決められる関税率と、国際間で締結した条約に基づいて決められる関税率と大きく2つに分けられます。

輸入国の法律に基づいて定められている関税率

  • 基本税率 ・・・ 国内産業の状況等を踏まえた長期的な観点から、内外価格差や真に必要な保護水準を勘案して設定されている税率
  • 暫定税率 ・・・ 一定の政策上の必要性等から、基本税率を暫定的に修正するため、一定期間に限り適用される税率
  • 特恵税率 ・・・ 開発途上国・地域を支援する観点から、開発途上国・地域からの輸入品に対し、原産地証明書の提出等の条件を満たすことにより適用される税率

国際間の条約に基づいて定められている関税率

  • 協定税率 ・・・ WTO加盟国・地域に対して一定率以上の関税を課さないことを約束(譲許)している税率
  • 経済連携協定に基づく税率 ・・・ 経済連携協定を締結している国からの産品を対象とし、それぞれの協定に基づいて適用される税率

関税率の適用順位

関税率の適用順位は先ずは国際間の条約に基づく関税率が優先され、輸入国の法律に基づいた関税率はその次に適用されると言う順位になっています。

  • 特恵税率は対象となる国の原産品であるなどの条件を満たす場合に限られる
  • 協定税率は暫定税率又は基本税率よりも低い場合に適用
  • 関税率は原則として、特恵税率→協定税率→暫定税率→基本税率の順に優先して適用される

HSコードと税表番号と関税率の関係のまとめ

世界共通の6桁のHSコードを知りたいと思うのは、大抵の場合は関税などのコストが知りたい場合では無いでしょうか。

HSコードだけでは輸入国の関税率は決まらず、日本への輸入の場合はその下に日本独特の3桁の統計細分が追加された9桁でようやく税番が決まるのです。

更に税番のみならず、原産地毎に適用可能な関税率は異なる訳です。

つまり事前に関税率を調べるのは或る程度難易度が高く、しかしながら税関に覆される危険性は否めない作業となる訳です。

だからどうしても確実な関税率が知りたいのであれば、税関の事前教示などを活用して原価計算を試みなければなりません。

また実際の輸入の際にも単純に通関業者に放任してしまうと想定外なコストとなる危険性も有り得ますので、最後まで気を抜かずに頑張っていきましょう!