インコタームズとは?トラブル回避に欠かせない貿易条件集也
貿易は異国と行うビジネスです。
国内で日本人同士と行うビジネスと比べ、貿易には残念ながらどうしても数多くのトラブルが付きまとってしまいます。
異なる言語、異なる文化、異なる人種、異なる価値観、異なる経済状況..そのトラブルの原因を考えだしたら幾らでも出て来てしまいます。
日本国内で常識と思っていても、異国では意外な程に非常識な事も少なくありません。
その様な複雑な背景が影響する貿易において、なるべくトラブルが起きない様に様々な事柄を明文化する必要が世界規模で出て来たと言う経緯は極めて自然では無いでしょうか。
それら必要な貿易条件を国際標準化したのが、このインコタームズ(Incoterms)なのです!
インコタームズとは?
それではインコタームズの語源から紹介したいと思います。
インコタームズはInternational Commercial Terms、日本語に訳すと国際商取引条件が語源となり、若干省略されて現在のINCOTERMES(インコタームズ)と呼ばれる様になりました。
インコタームズでは貿易で重要な費用負担の範囲や、危険移転の分岐など、売主・買主双方の役割を定義しています。
インコタームズは国際商業会議所によって制定され、時代背景の変化による必要性を考慮した改版が重ねられ続けています。
国際商業会議所とは?
国際商業会議所の英文名はInternational Chamber of Commerce、略称ICCと呼ばれています。
本部は仏国のパリに在り、日本委員会の事務局は丸の内に在ります。
国際商業会議所(ICC)の日本委員会のホームページはコチラ(和文)です
国際商業会議所の目的
- 国際貿易(商品・サービス)と投資を促進する
- 企業間の自由かつ公正な競争の原理に基づく市場経済システムを発展させる
- 世界経済を取り巻く様々な問題(環境、社会問題、等々)への提言を行う
これら目的を目指した活動の一環として、長年に渡りインコタームズの改版が行われているのです。
最新版はインコタームズ2020?それともインコタームズ2010?
結論としては2019年現在に於いて、実行力を持つ最新版はインコタームズ2010となります。
インコタームズは国際商業会議所によって1936年に初めて制定されています。
以降、1953年、1967年、1976年、1980年、1990年、2000年、2010年とほぼほぼ10年間隔で改版が重ねられ続けているのです。
そして実は既にインコタームズ2020が2019年9月10日に英文で発行されているのです!
しかしながらインコタームズ2020の発効自体は2020年1月1日からと決められています。
まとめますと2019年内まではインコタームズ2010、そして2020年明けてからはインコタームズ2020が実行力を持つ事となるので注意して下さい。
英文のインコタームズ2020に関しては、国際商業会議所のこちらのページから購入出来ます
英和対訳版のインコタームズ2020に関しては、国際商業会議所のこちらのページから購入出来ます
インコタームズ2010の概要
インコタームズ2010は2011年1月1日に発効されました。
その貿易条件は2つのクラスと11のルールに分類されています。
インコタームズ2010の2つのクラス
- あらゆる輸送形態に適した規則
- 海上および内陸水路輸送のための規則
先ず水上輸送とそれ以外を切り分けています。
つまり後者の水上輸送に類するクラスの中のルールであるFOBやCIFなどは、航空輸送などのそれ以外には使えないのです!
インコタームズ2010の11のルール
上述した2つのクラスの中に細分化されたルールが存在します。
- あらゆる輸送形態に適した規則の7つのルール
- EXW : Ex Works = 工場渡し
- FCA : Free Carrier = 運送人渡し
- CPT : Carriage Paid to = 輸送費込み
- CIP : Carriage and Insurance Paid to = 輸送費保険料込み
- DAT : Delivered at Terminal = ターミナル持込渡し
- DAP : Delivered at Place = 仕向地持込渡し
- DDP : Delivered Duty Paid = 関税込持込渡し
- 海上および内陸水路輸送のための規則の4つのルール
- FAS : Free Alongside Ship = 船側渡し
- FOB : Free on Board = 本船渡し
- CFR : Cost and Freight = 運賃込み
- CIF : Cost, Insurance and Freight = 運賃保険料込み
どちらのクラス内のルールでも、上から下に行くに従い売主の義務が少なく、下に行くに連れて義務が大きくなっていきます。
買主は逆であり、常に売主と買主の義務はゼロサムになると考えて下さい。
上記の中から特に頻繁に使われるルールに関しては、詳細を別のページで説明していますので合わせて参考にしてください。
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