重量勝ちや容積勝ちと言う勝ち逃げを許さない!容積重量とは?

若しあなたが小さな船会社をやっているとしたら、どの様な料金体系を作るのでしょうか?
お客様の事を考えると、トラブルを避ける為にもあまり複雑にはしたくないですよね。

船のスペースが満載になったらそれ以上は積めなくなりますから、取り敢えずは専有する大きさとなる立方メーターなどの容積単位で請求するメニューを作りましょうか。

..するとある日、鉄の塊の様な大きさの割りに重い貨物ばかりが来てしまいました。
確かにいつもと同じ容積しか積んで無い訳ですが、重いせいでしょうか、いつもより燃料の消費が早いのです..。

さあ、あなたはどの様に料金改定を目論むのでしょうか?

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勝ち逃げを許さない容積重量と言う考え方

貨物の中には小さいけれども重い様な重量勝ちの貨物のもの、逆に軽いけれども大きい様な容積勝ちの貨物なども存在します。

勿論、それら自体は仕方が無いのですが、各輸送会社は商売ですから自分達が損をしない様に独自の換算レートで容積重量と言う考え方を採用しています。

容積重量への換算レートは船舶業界、航空業界、トラック業界、クーリエ業者などでそれぞれ異なります。

船便の基本請求は容積単位

船便の料金体系は先ず、コンテナ単位のFCL(Full Container Load)か、コンテナに満たず混載となるLCL(Less than Container Load))かに分かれます。

FCLの場合

別にコンテナに満載にならなくても、スカスカでもコンテナを丸ごと貸し切りFCLでお願いする事は可能です。

いずれにせよFCLであればコンテナ単位のボックスレート料金となり、その金額は一定となります。

FCLのメリット

FCLは貸し切りですから、幾つかのメリットが有ります。

  1. わがままに積める
  2. 他の貨物からダメージを受けない
  3. 比較的早く貨物を受け取れる

LCLの場合

FCLはコンテナ単位の貸し切りですが、LCLは一つのコンテナの中で別の貨物と混載、相積みとなります。

船便のLCLの場合は大きさ、容積単位として㎥(立方メーター)に比例した金額となります。
㎥と言う単位は、見たままのエムスリーと呼ばれる場合も有ります。

船便LCLでの重量勝ち貨物への例外対応、レベニュートン

船便のLCLの様に容積単位の請求であれば、重量勝ちの貨物の場合に不利となってしまう訳です。
その様な場合の容積重量として、船便のLCLでは1㎥=1t(トン)と換算したレベニュートン(Revenue Ton)を採用する事で、船会社に不公平とならない様にしています。

例えば船便のLCLの場合、10㎥で12tとなる様な重量勝ちの貨物は、通常であれば10㎥で請求される訳ですが、12t=12㎥と言うレベニュートンに換算され、12㎥で請求される事になります。

航空便の基本請求は重量単位

船便は㎥単位での容積での請求が基本となる一方で、航空便はkg単位での重量での請求が基本となります。

航空便での容積勝ち貨物への例外対応、チャージャラブルウェイト

船便の場合と逆に、軽くても異常に大きい貨物、航空便の場合は所謂容積勝ちの貨物の場合と言う例外を考えなければなりません。

航空業界にはIATA(International Air Transport Association)と言う国際航空運送協会が有ります。

IATAのサイトはこちらです

そのIATAが6,000c㎥=1kgと容積重量(Volume Weight)を規定しているので、航空便の貨物運賃の計算はその換算された容積重量をチャージャラブルウェイト(Chargeable Weight)として請求するのが主流となっています。

だから例えば航空便の場合、100kgで1㎥となる様な容積勝ちの貨物は、通常であれば100kgで請求される訳ですが、1㎥=100c㎥x100c㎥x100c㎥ですから、

 100c㎥x100c㎥x100c㎥÷6,000kg/c㎥≒166.7kg

と言うチャージャラブルウェイトに換算され、166.7kgで請求される事になるのです。

※因みに計算された端数は0.5kgで切り上げられます

トラック便の容積重量は?

トラック便での容積重量は1㎥=280kgと換算されています。

船便の場合と比べてかなり厳しくも感じますが、手作業も有り得るトラック便では仕方が無いのかもしれません。

容積重量のまとめ

どうでしょうか?
容積重量も場合によりけりで、換算レートもまちまちでは無いでしょうか?

しかしながら注意しなければならないのは、例えば船便の場合でLCLとFCLでは付随するチャージが異なります。
だからそれら全てを合計して秤にかけなければ、結局はどちらがリーズナブルかは見誤ってしまう危険性が有り得るのです。

だから善かれと思っても自分で計算して思い込んでしまうよりも、きちんとそれぞれの業者にお願いして見積をしてもらう方が無難です。